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公共政策総合研究所 理事長 丸山勝彦 による論文
by maruyama118 |
2005年 03月 11日
㈱公共政策総合研究所理事長 丸 山 勝 彦
政府は「30年以内に東京に直下型地震が起きる確率は70%、10年以内に30%」と発表しており、第2の関東大震災は必至と考え、各種マスコミは連日、警鐘を鳴らしている。 また、政府の地震調査委員会は3月9日、神奈川、静岡にまたがる活断層「神縄・国府津―松田断層帯」で30年以内にM7~8級の地震が起きる確率を、1997年に示した3.6%を修正し最大16%と発表した。 政府の中央防災会議が本年2月25日に公表した首都直下型地震の被害想定を見ると、経済被害想定額約112兆円、10年前の阪神大震災の10倍を超える。これは今年度の国の一般会計予算を上回り、国内総生産(GNP)の約2割に達する規模だ。避難者は700万人に及び、死者は1万3000人にも上ると言う。建物全壊棟数は約85万棟と想定され、政府は本年度中に「南関東地震対策大綱」を見直すこととなった。 首都圏の震災は、被害者だけでなく、日本全体の生活水準の低下につながることは当然で、建物の耐震化免震化等はもとより、企業の本社機能のバックアップ体制の構築といった「減災」への取り組みに、もう残された時間は少ない。 また、国土交通省は2月18日、震度7クラスでも倒壊しないよう「耐震補強」を済ませた住宅の割合を、2015年迄に現状の75%から90%までに引き上げる数値目標を決定することとした。これは、現行の公的補助制度の見直しと、税制面での新たな優遇制度導入などの検討に着手するもので、今夏までに具体的な施策をまとめるとしている。 老朽化した木造住宅の建替えの改修を促すため、国や地方自治体では耐震補強のための補助や住宅ローン減税等を導入しているが、こうした優遇措置を利用して工事を済ませた住宅は、年間45万戸程度にとどまっており、このペースでは耐震化実施済みの住宅が90%までに達するためには20年以上かかる。 国交省では全国4700万戸の戸建住宅やマンションの内、約1150万戸は震度7クラスで倒壊しないことを求めた建築基準法の「耐震基準」を満たしており、残りの3550万戸の建替えや耐震補強が迫られている。阪神大震災では1981年の基準改正前に建てられた建築物に被害が集中し、死傷者の内、9割以上が建物の倒壊や家具の横転落下により被害が出ている。従って、特に築25年以上の住宅・マンション・ビル等の耐震化免震化が急務である。 本年1月17日5時46分であの悪夢のような戦後最大の阪神淡路大震災からまる10年になった。 当時兵庫県内で約25万戸の家屋が全半壊し、6433人が貴い犠牲となり、負傷者数は4万3792人であった。被害総額は10兆円に上ったと言われ、大震災のピーク時、兵庫県内の小学校や公民館等で避難所となったのは1153か所、31万6678人が避難し、仮設住宅では4万6617世帯が生活したことは、今でも忘れない。 この日、神戸市で、「10周年追悼式典」が営まれ、当時、震災から2週間後、現地を訪ねられた天皇陛下は、「国の内外において、地震の発生に備え、あるいは、災害からの復興に当たり、兵庫県の経験に学び、それを受け入れる努力がなされていることは、誠に意義深いことと思います。また、近年自然災害の発生に当たって、県や地域を越えたボランティアの交流が行われ、人々が広くお互いに助け合う姿が定着してきていることを、心強く思います。・・・一人でも多くの命が不慮の災害から守られる安全性の高い社会を築いていかなければなりません。・・・」とお言葉を述べられた。 また、神戸市で開催された「国連防災会議」において1月22日に採択された「兵庫宣言」でも、「減災・予防」の重要性が強調され、「国の政策の中で防災を優先課題とすることが重要」と明示し、関係者に行動を求めている。 もとより政府は、大災害時の救助で食料支援、緊急輸送、応急収容、インフラの確保等について、応急対策活動要請を策定し、内閣府では個別の活動要請だけでは不十分と分析、新マニアルの策定を急いでいる。 阪神大震災の教訓として、「まちづくりの考え方が、利便、効率、成果に偏り、安全、安心の視点をおろそかにしていた」という点がある。 従って復興にあたっては、①交通機関などの社会基盤(インフラ)や、電気、ガス、水道等のライフラインの強化 ②住宅や公共施設の耐震化 ③防災拠点や災害医療拠点の整備等が重要課題になっている。もとより、神戸の震災時には、延べ138万人余のボランティアが活躍したことで「ボランティア元年」と位置づけられ、その後の大規模災害でも、ボランティアや民間活動団体が活動しているが、そのネットワークづくりも新しい課題であろう。またお年寄りや子供や障害者ら、いわゆる「災害弱者」への避難誘導と、その後のケアの在り方等、臨床心理士のあり方も大切な事は言うまでもない。 今東京では、各役所が建て替えられつつあり、東京都庁も新宿新都心の超高層ビルに移った。また日本共産党本部も新築され、自由民主党本部も耐震補強工事に入っており、東京駅の丸ビルも新しい耐震ビルへと変貌を遂げている。 高速道路や新幹線、橋やトンネル等も再点検し、より耐震性の高いものへと変わりつつある。さらに各地の原子力発電所も安全対策を見直していると思われる。 この事は当然であり、ぜひとも、早急に行ってもらわなければならないが、その種の公共事業や力のある民間の建て替え事業が進んでも、多くの国民の生活の基盤である住宅やアパート、マンションに対し、有効な施策を講じなければならない。大災害にあった時、職場のビルの中や住居やマンションの中にいても生命に危険が及ばないことが第一ではなかろうか。 家の下敷きになったり、マンションが倒壊してから救援の手を差し延べても遅いことは万人の認めるところではないだろうか。 現在、小生が住んでいる中野区において築30年以上(昭和49年以前の分譲マンション)は115棟あり、また用途地域の見直し等において建蔽率や容積率が変更となり、既存不適格マンションとされている建物は163棟とされている。 過去の中野区における用途地域見直しの方法は、区民にとって非常に一方的と感じられ、建蔽率や容積率の変更により、将来にわたってマンション財産を大きく削られるマンション所有者に対し、手紙一枚の連絡もなく、中野区報に掲載する位ではなかったかと思う。 そのため、地震災害に対応するため老朽化したマンションを建替えようと決意しても、現在住んでいる建物が、従前のままの大きさに建てられないという現実にぶつかり、建替えを断念しているのが現状ではないだろうか。一体、区当局は住民の意向を汲んで見直しているのか、或いはまた、区全体の地域計画に基づいて将来にわたっての、特に減災の観点からの住宅政策を展開しているのであろうか。 中野区では、咋年5月6日から総合設計制度が改正され、①屋上緑化をするとき、建築物の屋上部分に土を盛って、一定の種類の樹木などを植える場合に、一定限度内で容積率の割り増しが受けられる、②マンションを建て替えるとき、建築確認申請をしたときの「主要な用途」が共同住宅で、建築後30年以上を経過した建物を建て替えるとき、従前の総合設計制度よりも多くの容積率の割り増しの適用が受けられることになった。 もともと、この総合設計制度は、まちのの環境を整備・改善するため、敷地内に日常的に歩行者などが使える歩道や通路、広場など準公共的な空地を設けた場合に、建築物の容積率や高さの制限を緩和するものだが、今回の改正でも減災対策を考えておらず、マンション建替えの場合、前面道路の幅員が6m以上必要であり、また一定規模以上の敷地面積がないと有効でなく、問題となっている。従って現在の不適格マンションを全て総合設計で建て直すことは困難と考える。現に、総合設計制度では中野区において1棟しか建替えされていないのが現状である。 建物が老朽化するのは自明の理であり、そのことが地震等において全半壊をもたらし、 結果的に死傷者が増大することは至極当然なことであり、そのことを勘案せずに用途見直しをされるのは如何なものであろうか。一体、区は、大震災が必ず来ることをふまえて減災を基準とした見直しを行ってきたのであろうか。大いに疑問である。 地震、天災は必ず来るものとして、その対策については常日頃充分配慮しなければならないと思うが、中野区は都内でも最大の人口密集地域として区民は常に危険と背中合わせの生活を余儀なくされているが、民主党推薦の区長はこれ等の問題について如何なる方策を考えているのか、未だに区民に応えていない。 そこで私は、私の住んでいた築35年以上の老朽化したマンションの建替えを自分達の手で行おうと決意した。従来のマンション所有地のみで建替えると、区より不適格マンションと指摘され容積率が56%となり、従前8階建てのものが5階までになり、建て替え計画そのものが出来なくなる。更に、耐震化や免震化の補強工事をするにしても数億円の工事費がかかり、区分所有者がその負担にたえられないということであった。たまたまそのマンションの南面の道路に面した隣地にガソリンスタンドがあり、その土地を購入し、合わせて11階建てのマンションとして改築することにより区分所有者の負担を新築価格の6割強程度に抑えるという計画が立てられたので、マンション管理組合としては区分所有者全員の承認と借家人全員の協力を求めて、計画が決定、コンペをしてデベロッパーを決定して、今、建替え中である。この場合はガソリンスタンド所有者の協力があったからこそ実現したが、それ無くしては建替え不可能であった。 このことは換言すれば、既存不適格マンションや築30年以上の老朽化した分譲マンション等は、所有者(管理組合)の力だけでは建替えが出来ず、このまま放置するならば、生命の危険から逃げ出す人も出るだろうし、スラム化し、危険極まりない建物となることは間違いないことだと思う。 もとより、自己所有のマンションや木造住宅の建て直しについては、自己責任ですることは当然であり、私は公的資金を投入せよとか、補助金を出せというつもりは無い。用途地域の見直しと規制緩和によって、管理組合は勇断を以ってマンションの建替えに力を注げることになり減災化は大きく前進するのである。 私は、もとより住宅地に於ける日照権や天空率を否定するものではないが、中野区のように池袋、新宿、渋谷と三大歓楽地や都庁や高層オフィスビル街に隣接する我が区の現状を考えると、用途地域を大幅に変更して、環6と環7の内にある地域等については、全面的に高層地域並みの容積を与えることこそ、住居スペースを拡大でき、子供を安心して育てられるスペースを持てる住居を持つことが出来ることになり、更に耐震・免震化や不燃化を大幅に増加させることが出来ると思う。 聞くところによると現在、東京都では環6の内側をセンターコアと称し、大幅な規制緩和をしているとのことだが、東京都庁が新宿に移転している現在、我が中野区に於いては環7まで位もセンターコアとして繰り入れられることが当然だと思う。 31万区民で人口密集度東京1の中野区に於いて、減災化出来る途は、高層化以外には無い。減災対策のみならず、建替えが進めば区財政に大きく寄与出来るものと考える。 教育、文化、スポーツさらに福祉、環境等いずれも財源がなければ充実させることが難しいと思われるが、区民の財産でもある住宅の建替えがスムーズに行われれば、地域経済の活性化はもとより、雇用の確保、更には一般消費の増大に直結し、内需拡大による景気の回復に大きく寄与出来るものと考える。 中野区では本年度より、区内の木造住宅の耐震補強についての無料診断を行なおうとするやに聞いているが、総合的な地震対策を早急に検討・実施することが肝要である。 私は、そこで地震災害から区民を守るという立場で、民間の力で、自力で老朽化マンションや既存不適格マンションの建替えがスムーズに行くように、中野区のみの判断ではむずかしい点もあろうかとは思うが、建替えについてはその容積率を思い切って2~3倍に緩和し、建替えがスムーズに出来るような方途を考えていただきたいと提案するものである。 国土交通省によると、1昨年末までに供給されたマンション戸数は、約447万戸。例えば建築後30年以上のものは、2001年末には約17万戸だったが、2011年には約100万戸になると推定されている。一方これまでに老朽化による建替えを成功された例は、過去30年間で、わずかに約80件と言われている。 このことから勘案すると、年に10万戸づつ建替えや耐震化を図るとしても、毎年10万戸以上の建替えや耐震補強化が必須条件であり、当然政府も減災化対策とともに内需拡大につながることでもあるので、早急にこの対策に着手しなければならないと考える。 東京都が2001年から2年度にかけて建築後30年以上のマンションを対象にした調査では、建替えについて「検討中」が7.7%で「全く検討していない」が56.5%と過半数を占めている。防災についての意識が低いのか、資金的な問題なのかは別として、政治家を初め政府や地方自治体が、この問題を広く国民に警鐘していないことこそが問題ではなかろうか。 次に、近年、マンション建替えをスムーズに行かせるよう制定された「マンション建替え円滑化法」について、その問題点について検討してみたい。 この法は、防災の為のマンション建替えを前提としているとは思えず、新たにコストがかかる免震、制震等についてはふれられていない。国民の生命と財産を守るという政治の一大要諦から考えれば、そのコストに応じて補助金の交付又は税金を使わずにすむように、そのコストに見合う容積の割り増し制度を加味すべきだったのではないだろうか。 特に高層マンションの場合、地震の際、エレベーターがストップすることは当然考えられるが、高層部、中層部,低層部のそれぞれに集会施設を兼ねた避難スペースや備蓄倉庫を義務付ける一方、その分の面積を全体の容積計算より除く等の施策を行うことにより、当該マンションのみならず、近隣者に対する安全な避難場所の確保の一助にもなると考えるので、ぜひ政策当事者にご一考願いたい。 この容積率上げによる老朽高層建物建替え促進の規制改革の効果としては、日本経済研究センター発行の「新市場創造への総合戦略」の中で、東京都区部築30年以上の8万戸に対する経済効果として金額にして実に2兆4千億円になると発表されている。 内需拡大により、景気が一段と良くなり雇用が確保され、また国や地方自治体の税収も大幅に増収となることが日本経済の発展の至上命題とするならば、規制改革によってゼネコン、デベロッパーのみならず、波及効果の非常に大きいマンションやビルの建替えこそが急務であり、まず自民党が中心となって現行法改正等の新政策を提案し、国民の安心、安全を確保し、生活の安定に寄与していただきたい。 次に現行の「マンション建替え円滑化法」の問題点について提言する。 1、同法によれば、区分所有者は4/5の同意で良いにもかかわらず、借家人は100%の同意が必要となっている。【円滑化法第57条2,3項】 建替えマンションは、長年経過するうちに所有者が第三者に賃貸させるケースが多く、通常のマンションに比べて借家人の数が多い傾向にある。同意形成において、区分所有者においては4/5の同意をもって建替え決議を行い、建替え不参加者へ「売渡請求」を行うことで建替え不参加者の権利を取得することが可能であるが、借家人に対しては、円滑化法第57条2,3項に規定の通り、100%の同意が必要である。再開発事業では、補助金対象である都市再開発法第97条に規定の「通常損失補償」によって、いわゆる「借家立退き費用」に対応する費用が事業費の中で見積もられるが、現在のマンション建替えに対する補助金交付の状況(補助金ナシでの建替えがほとんど)では、立退き費用の負担は賃貸人に帰属し、借家人を保護するあまり賃貸人への過度の負担が避けられず、事業全体のスケジュール遅延ともなる。 建替え決議が借地借家法第28条の「更新拒絶の正当事由」に該当する事とするか、補助金交付を充実させる等の検討をお願いしたい。 2、借家人の組合保留床の取得について。【円滑化法第71条3項、第60条4項】 再開発事業にも該当する問題であるが、前記記載の通り借家人の多いマンション建替え事業であるがゆえに今後クローズアップされる問題の一つに、賃貸人が転出し、その借家人が建替え後のマンションに住み続ける意向を持っている場合、組合が所有する床をもって賃貸させる必要がある点である。実際には組合が賃貸する合意は取れず、デベロッパーがその床を保有し賃貸せざるを得ず、デベロッパーが取り組む時の障害になっている。 再開発事業で散見されるような、自治体が借り上げもしくは所有し、区民住宅とする等の検討が必要である。 以上、1,2の問題は借家人の「ごね得」を助長しているので、「ごね得」を生起させないような事を検討する必要があることを追記したい。 3、反対する区分所有者への売渡請求後の明渡し手続きが不明確である。 建替え決議の成立後は、反対者に対して催告の後、売渡請求を行うことで組合等に区分所有者権及び敷地利用権が移転するが(形成権)、売渡請求の債務者が明渡しに応じない場合には裁判等の法的な手続きが必要になり、多くの時間と労力がかかる割に解決の道筋がみえにくく、デベロッパー等の協力業者が建替えに積極的になれない大きな要因となっており、結果的に建替えが進まない要因である。法的な整理を行い、その対応を明示する必要がある。 4、仮住居の確保に対しての行政の支援不足 規模の大きい建替えの場合、民間だけでは仮住居の戸数の確保が難しい場合もあるので、企業の空社宅等民間の住宅提供を促進するための政策が必要である。例えば賃料にかかる減税とか、防災政策への貢献企業の認定等を考慮したらどうか。 5、初期段階のコンサルフィーの原資が管理組合にないケースが多い 建替えの検討すら出来ない管理組合が多いので国又は地方自治体がそのための「基金」を創設し、マンション建替えや耐震補強化を検討する管理組合等に低利融資をしたらどうか。この原資については、今年4月に実施されるペイオフに対処するため、既存の各マンションの管理組合はその保有している長期修繕積立金等の預金先について悩んでおり、この際、地方自治体は仮称「愛郷債」(ふるさとを愛する債権)を発行して、管理組合に対し元本保証を行い、預金を集めればたちどころに数十億、数百億円以上の原資を集められると思われるので、その資金を「基金」として活用したら如何だろうか。築年数の新しい耐震化された既存マンションは積立金が有るので、その積立金等を活用させて戴き、非耐震の中古マンションの耐震・免震マンション化を促進出来れば、新たな予算を自治体が組まなくても済むので、一石二鳥と思われる。 6、抵当権者の金融機関が権利変更を理解してなく、抵当権の抹消が困難である。 金融機関に対し、防災のための建替え事業の協力を通達等で呼びかけ、理解を得ることをしたらどうか。 7、築年が古いため建物完成後に施行された条例により、一方的に行政により既存不適格(建替えの際、従来の容積を確保出来ない建物)とされたマンションや集合住宅を救うための隣地を含めた建替えを検討する際、隣地所有者への税制上等のメリットが必要で、これが無いと計画が進まないので、考慮したらどうか。 8、マンション建替えの際、多くの区分所有者は自己負担ナシでと考える方が多い。しかしながら、建替えには一定の資金負担をしなければならないが、中古マンションに長年住み慣れた方は高齢者になっているので、その方々に対して過大な資金負担を求めたり、現行の住宅ローンを組むことは難しい。そこで高齢者対策一つとして現行の「リバース・モーゲージ」の充実が必要である。 現状では、住宅金融公庫が1000万円までの低利融資を行っているが、上限を3000万円位まで引上げるとともに、民間金融機関にも減災のため、高齢者が新マンションに入居し易くするための制度として「リバース・モーゲージ」の導入を指導したらどうか。 最後に「立法の不作為」と言う言葉がある。これは立法府たる国会が国民が必要とする法律を作らないこと、また時代にそぐわなくなった法律を廃止しない行為であろう。 私は現状の政府・地方自治体の未だ不充分な減災対策を「立法の不作為」と断じるつもりはないが、国は地震が来ることを想定しており、その被害も甚大なものと考えられている問題については、立法府、行政府、地方自治体は速やかにその対策を立てることが「転ばぬ先の杖」になるので、「天災はどうしようもない、誰にも責任が無い、不幸であった」等という繰り言を、私達が信じて支持している自民党政府には言ってもらいたくない。国家、国民のために日常的に最大限政策努力を払っていることの範を国民に示し、行動に移っていただきたい。この際、この問題を早急に取り上げて真剣に対策を講じてもらいたいと思っている。教育、福祉、環境、治安等どれも大切なことであるが、自国民の生命、財産を守ることこそ第一義と考えるので、出来れば東京都議選の前にでも都民に訴える重要政策の柱として減災問題を取り上げては如何だろうか。 以上、減災対策を進める上で「マンション建替え円滑化法」の問題点を列挙したが、机上プランでは良い政策と思えても、実際実行に当たっては色々問題点が出て来て、実行不可能になるケースが非常に多い。そこで早急に自民党政調会の中に地震に対する減災化促進のプロジェクトチームを設置し、党外の経験者も加えて実のある政策を立案していただきたい。その際、従来のマンション所有者の負担を思い切って少なくし、建替え易くすることが大切で、そのためには日照権や天空率の問題もあろうが、特に東京都区部のような人口密集地域においては、その建物の容積率を思い切って緩和(倍増以上)し、従前の容積を上回る部分を売却することによって建替え費用をデベロッパーや管理組合が調達でき、建替えがスムーズに出来るような方途をとることが肝要であると考える。重ねて警告したい、減災のために残された時間は非常に少ないことを。 最後に、近年、行政推移を見ると、世の中の動きに遅れがちで、後追い行政などと唱える人もいる。私は、従来の行政の良いところは保守しつつも、改革すべきところは将来を考えて先んじて対策を果敢に講じることこそ政治の要諦であると考える。
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